「iPhoneの頃」 [2009.9.7]

かなしいときー


一.新規契約なら元の携帯番号のままでiPhoneに変えれることを、iPhoneを買った次の日に知ったときー

一.iPhoneのユーザーIDとパスワードが、買って一ヶ月でわからなくなってしまったときー

一.iPhone買った初日に、ストップウォッチ機能を発見し、10.00秒ちょっきしにストップするのに挑戦し始めてしまい、出来るまで止められず、一人で5分ぐらい苦戦したときー

一.家でひとり暇な時に、別に北がどっちかなんて知りたくないのに、iPhoneの「コンパス」をついつい開いたことが何回かある自分を意識したときー

一.iPhoneを買って一番役に立ったのが、風邪をひいて近くの病院を探そうとしたときだった、と振り返ったときー

一.元の携帯電話があるから、iPhoneの番号は友人に伝えてなくて、だからiPhoneが鳴るのは朝の目覚ましくらいだけー

 それでも、iPhoneがリンリン鳴って、オッひょっとして誰か友達か?と思ったけど、出たらやっぱり間違い電話だったときー

一.そして、今日、買って3ヶ月目にして、充電がなくなったと思ったら、画面が、真っ白になり、動かなくなった、ときー

一.夕日が、沈んだときー


*この話しは、フィクションです。数年前に日本で流行したお笑いのネタをイメージして執筆されました。ここでは、便利になった現代の「機器」の脆さ、またそれを使う青年のさみしさが描かれています。フィクションですので、登場する人物は現実とは一切関係ありません。そもそも、夕日が沈むときというのは、悲しくない。9月上旬現在の秋の夕焼けなど、すこぶる美しいのである。