一人暮らしをはじめてから、救急車を呼ぼうかと思ったことが一度だけある。
花粉症の時期だった。
その頃僕は、トムヤンクンや激辛ラーメンをやたらと作っていた。簡単でうまいからだ。
トウガラシ2本くらいをちぎりながら鍋に入れていたときだった。
何気なく、目をかいた。ら、激痛が走った。
手に付いたトウガラシの刺激成分で、目がやられたのだ!
目がボーボーと燃えるように痛かった。
しばらく氷水タオルで冷やしていたら治ったが、その時は失明するんじゃないかとまで思った。
おそるべしトウガラシ、と思った。
-------------------------------
さて先日、名古屋は梅雨入りした。
蒸し暑くなってきたから、庭がある家には、蚊が出やすいかもしれないと少々心配である。
虫はあまり得意ではない。
先日、玄関に小さなアリが2匹いた。戸のスキマから入ってきたのだろう。
これから夏だし、虫たちがどんどん出没するようになっては困ると思い、対策を考えた。
それが唐辛子防虫法。玄関の端っこに、トウガラシを2本くらい転がしておくだけ。
人があれだけ痛がるのだから、虫だって同じに違いない、という作戦。
殺すわけではなく、虫を寄せ付けないという発想で、我ながら名案だった。
おかげで、それ以後一週間、玄関にアリを見かけていない。
ちなみに、イタリアでは、トウガラシは幸福を意味している。
それが玄関に置いてあるという光景もなかなかいいもんだな、と一人満足げなのである。