2012.12.23

病院のクリスマスイベントで、ピエロ&マジックをすることになり、
この機会に、パッチアダムスという医者の著書を読んでいる。

その本の中で、以下のような一文が書かれていた。

”健康になるためには、まず、幸せにならなければならない。”

この一文を読んで、アレ、と思った。普通言われることと逆だな、と。
つまり、『「幸せ」になるためには、まず「健康」にならなければならない』。
これなら、健康第一だよという意味合いで、よく聞きそうな考えだし、聞いた人は誰でも、うん、健康は大事だよな、と納得できると思う。

でも、今回は、逆だ。
まず先に、「幸せ」がきている。
僕は、このことに、共感をした。

僕は、本当の「健康」というものは、実はなかなか難しいことだと思う。
多かれ少なかれ、誰でも病気をするし、程度の大小はあれど、全ての人が「障害」を持っていると思う。いかんともし難い状況に生まれる子どももたくさんいる。
健康というものには、ある種、「物理的」な要素がからんでいるので、そんなに簡単なことじゃないぞ、と思うのだ。

一方で、「幸せ」の方は、どうか。
僕は、こちらの方が、すぐにでも手に入りやすいのではないか、と思っている。
例えば、「あー、美味しい!!」とか、「今日の○○はおもしろかった!」とか、「風呂が気持ちいい!」とか、、幸せを感じることは、身の回りの日常に、たくさん存在していると思うからだ。
たとえ、病気であっても、幸せを感じることは、難しくない。例えば、家族や友人が、お見舞いに来てくれることは、なにより楽しく、安らぐと思う。また、家族も友人もいない人にとっては、医者や看護師との交流が、大きな要素になるだろう。

以上、このような考えから、幸せを「最終目的」のように語ることより、
幸せはもっともっと簡単に増やしていけることだと、僕は、思っていたい。
僕には、現代医療の様々な問題点を変えることはできないかもしれないが、例えば病院のマジックショーで笑ってもらえれば、それにも、意味はあると、考える。

そして、最後に、もう一つ。
僕が、今回ここで書いていることは、「医療」の分野だけの話しではない。
僕がこれまで関わってきた「建築」の分野でもそうだし、あるいは「教育」でも、「政治」「経済」など社会の大きな流れに対しても、置き換えられるのだと思う。
そして、そういった大きな流れがどうあろうと、自分自身が関わっていきたい、大切にしたいことは、小さな「幸せ」の方でありたい。

「幸せ」という言葉を使うのは、正直に言えば、恥ずかしさもあるし、人それぞれの認識も違いそうだから、うまく伝えられるかわからないのだけど、
やっぱり、僕は、マジック・魔法、などが好きでやってきて、この先の方向、ヴィジョンを考えると、こういうことを信じていたいなと思ったので、ここにメモを記しました。(ちなみに、マジックは本業ではないし、むしろ生業にはしない方がいいとは、考えています。)

[紹介した著書は、『パッチアダムスと夢の病院』パッチアダムスより]