読んだ本(12月)
『-自然農法- わら一本の革命』 福岡正信.1983
おもしろく、一気に読んだ。
「農業」や「自然」についての、本当に根本のところを見せられたよう。
その原理的な考え方は、技術者の川合健二とも重なった。
福岡氏は、自身の自然農法による果樹園を「ブドウの蔓が絡んだ肥料木がニョキニョキ立ち、果樹の下には緑肥や雑草の中に野草化栽培の野菜が茂り、鶏が遊ぶというような、全く立体的な農園」と説明していた。
福岡氏の哲学とその'立体'的な風景は、建築という'立体'より、はるかに魅力的だと直観した。
ちなみにこの本は、大学時代に知り合った菊地さんが、以前紹介していたのを覚えていて購入した。菊地さんは現在、地元秋田へ戻り、農家として米や野菜を育てている。(菊地さんの農園ホームページ「ファームガーデン黄昏」)
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農業という営みは、美しいと思う。
自然の只中で、生きること、食べること、祈り、感謝すること。
大きな自然の流れを受け継ぎ、生きている。
自分に関して言えば、自分達が食べるものくらいは、自分達でつくりたい。
これは難しいことではないと思う。何より、第一優先させてもいいくらいのことだとすら思う。
食べるということは、何よりの幸せなのかもしれないと思うからである。
大学の頃から言っている建築のセルフビルドとも、根本は同じだ。
食事はもちろん、建築や人間の精神活動も、本来すべて「自然」なのだと思う。そして、専門など関係なく、人間は誰もが自然の一部であって、誰もがその「自然」の魅力や豊かさに触れることができるはずだ。
こんなシンプルな考えも、現実から離れていき、ただのキレイ事として見られることも多い。
が、福岡氏の実践から生まれた考えや、4歳年上の菊地さんの活動が、力をくれる。
自分は彼らのようには強くない凡人でも、凡人なりに、自分もやりたい。と思わせてくれる先輩たちである。